出張はどこからどこまでが勤務時間?移動や残業の考え方も徹底解説
出張はオフィスでの通常業務とは異なり、移動や宿泊を伴うため、勤務時間の扱いに迷う方も多いでしょう。「移動中は勤務時間に含まれるのか」「どこからどこまでが労働時間に含まれるのか」といった疑問は、誤解やトラブルにつながりやすい部分です。本記事では、出張における勤務時間の基本ルールや移動時間の考え方をわかりやすく解説します。安心して出張に臨めるよう、ご参考にしてください。
出張の勤務時間(労働時間)はどこからどこまで?
出張における勤務時間は、基本的に会社が定める所定労働時間内で行う業務が対象です。たとえば、9:30~18:30が所定労働時間の社員は、出張先で業務にあたる時間も労働時間に含まれます。また、所定労働時間内の移動時間も業務にあたっている時間と見なされます。所定労働時間外の扱いについては、以下の内容をご参照ください。
| 始業時間前の出張先への移動 | 出張先への移動時間は勤務時間に含まれる? |
|---|---|
| 終業時間後の会社や自宅への移動 | |
| 出張先での残業 | 出張先での残業(終業時間後の業務)の取扱い |
| 出張先での休日 | 出張先での休日の取扱い |
そもそも勤務時間(労働時間)とは?
勤務時間(労働時間)とは、「従業員が会社の指揮命令下で働く時間」を指します。具体的には、業務を遂行するために従業員が拘束されている時間です。労働基準法では「労働時間」と表現され、会社は法の範囲内で時間帯や時間数を設定します。これらは就業規則や雇用契約書で労働者と共有され、「所定労働時間」といいます。
出張先への移動時間は勤務時間に含まれる?

出張先への移動は始業時間前に行われることが多く、勤務時間に含まれるかどうかは会社の規定によって異なります。終業後の帰社や直帰の移動時間も同様です。そのため、就業規則や社内規定を事前に確認しましょう。厚生労働省は出張を伴う移動について以下の通り通達しています。
◆直行直帰・出張に伴う移動時間の取扱い
“直行直帰・出張に伴う移動時間について、移動中に業務の指示を受けず、業務に従事することもなく、移動手段の指示も受けず、自由な利用が保障されているような場合には、労働時間に該当しません“
出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」
出張時の移動時間は、状況によって勤務時間に含まれるかが変わります。移動中に業務の指示を受けている場合や、自由に時間を使えない場合は労働時間と見なされる可能性があります。たとえば、「自動車での運転を指示されたとき」「資料作成を求められたとき」「オンライン会議に参加したとき」などです。
また、通常の勤務時間内に行う移動も、一般的に勤務時間に含まれます。ただし、会社によって取扱いが異なるため、事前に上司や労務担当へ確認しておきましょう。
出張先での残業(終業時間後の業務)の取扱い
出張先での残業は、通常の勤務先と同様に労働時間として扱われます。終業後に業務を行う場合は、時間外労働として適切に管理されることが求められます。
出張先での残業は残業代が発生する
出張先での残業は、社内勤務と同様に時間外労働として扱われ、残業代が発生します。計算式も通常賃金の125%と同じで、出張手当や日当が支給されている場合でも、残業代は別途支払われるのがルールです。早出で出張先に向かい業務を行う場合も、同じ扱いになります。
ただし、出張時の残業や早出の記録方法は社内勤務時と異なることも多いため、担当者は社内規定に沿った記録方法を確認することが重要です。
残業代がでない?「事業場外みなし労働時間制」とは
「事業場外みなし労働時間制」とは、実際の労働時間に関わらずあらかじめ決められた時間を労働時間として扱う制度で、出張など事業場外での業務に適用されます。この制度が適用されると、出張先で残業を行っても残業代の支払いは原則行われません。適用には労働基準法に基づく条件を満たす必要があり、「労働者が事業場外で業務を行い労働時間の算定が困難な場合」に限ります。労務担当者は条件に合致しているか、事前確認が必要です。
出典:東京労働局「『事業場外労働に関するみなし労働時間制』の適正な運用のために」
出張先での休日の取扱い

出張先での休日は、労働を行わなければ社内勤務と同様に休日扱いとなります。出張先に拘束されていても、その時間は労働時間には含まれません。休日に移動する場合も、移動時間は労働時間外です。
ただし、業務の指示を受けて仕事を行った場合は「休日出勤」となり、労働時間に含まれます。この場合には、業務指示の記録を残しておくことが重要です。また、海外出張中にその国の祝日があたる場合も、労働の有無に関わらず賃金の支払いは一般的に行われます。
トラブルにならない!出張時の勤務時間を正しく把握するポイント
出張時の勤務時間は判断があいまいになりやすく、誤解やトラブルの原因になりかねません。ここでは、出張時でも正しく勤務時間を把握するためのポイントを解説します。
労務・総務担当者が抑えたいポイント
- 労働基準法の労働時間について正しく理解する
- 出張先での業務内容を透明化する
- 出張規程を整備し周知する
- 出張時の労働時間を正確に記録するためのシステムの導入を検討する
労務・総務担当者にとって出張時の勤務時間の管理は複雑な課題です。移動時間など特に難しいポイントは、労働基準法のケースをよく確認する必要があります。出張先での業務内容や勤務時間を明確にしておくことで、トラブルを未然に防げます。これにより、労働時間の透明性が高まり、企業と従業員双方にとって公正な労働環境を築けるでしょう。
出張担当者が抑えたいポイント
- 出張時のスケジュールを明確にする
- 出張時の業務内容を明確にする
- 出張規程を確認する
- 出張の記録を取る場合は、必ず客観性のあるデータを保管する
出張担当者は、出張スケジュールを明確にして、移動時間や業務時間を把握しておくことが重要です。これにより、労働時間の過少申告や過剰申告を防げます。また、交通費や宿泊費の領収書、チケット、宿泊先へのチェックイン・チェックアウトの記録は必ず保管しましょう。出張規定を事前に確認し、疑問があれば上司や総務・労務担当者に相談することも大切です。
出張時の勤務時間についてよくある質問
出張になると普段のオフィス業務とは異なる疑問が出てきやすいものです。ここでは、よくある質問とその回答をまとめて解説します。
Q.出張中に勤務時間の記録ができなかった場合、労働時間として認めてもらえない?
A. 記録がなくても、実際に働いた時間は労働時間として認められる場合があります。
勤務実態を示す資料や上司の確認があれば、記録がなくても労働時間として認められる場合があります。加えて、メール送信履歴や出張先での業務報告、交通機関のチケットや宿泊記録なども証明として使え、労働時間の正確な把握やトラブル防止に有効です。
Q.飛行機が飛ばず予定通り帰社できない場合、待機時間は勤務時間として扱われる?
A. 原則、業務の指示や拘束があれば待機時間も労働時間として扱われます。
自由に過ごせる待機時間は労働時間には含まれませんが、会社の指示で待機している場合は勤務時間として認められます。状況に応じて上司や労務担当者に確認し、待機時間の扱いを明確にしておくことが重要です。また、待機時間中の業務指示の有無や拘束の程度を記録しておくと、後のトラブル防止や労働時間の正確な管理に役立ちます。
Q.出張中は「事業場外みなし労働」のため残業代が出ないといわれた場合、労働基準法違反になる?
A. 条件を満たす場合は適法ですが、安易に適用されるべきではありません。
事業場外みなし労働の適用は、「労働者が事業場外で業務を行い労働時間の算定が困難な場合」に限定されます。そのため、出張の内容や実際の拘束状況が制度の適用条件に合致しているかを事前に確認することが必要です。労働者に不利益が生じないよう、安易な適用は避けることがトラブル防止につながります。
Q.出張中の勤務時間外に観光をしていて社内で指摘を受けることは不当になる?
A. 勤務時間外の自由行動であれば、指摘は原則不当です。
出張中であっても、勤務時間外は従業員の自由時間として扱われます。ただし、移動中や業務時間中に観光などを行うと、勤務時間の誤解や経費処理の混同につながる可能性があります。そのため、スケジュール管理を徹底し、業務時間と自由時間を明確に区別して報告することが重要です。
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出張時の勤務時間は正しい知識でしっかり管理しましょう
出張時の勤務時間は、移動や残業、休日の扱いによって思わぬトラブルにつながることがあります。正しい知識を持ち、スケジュールや記録をしっかり管理することが安心で公正な環境づくりにつながります。本記事で紹介したポイントを出張前に確認し、日々の実務にしっかり活かしましょう。

この記事の監修
アパホテル株式会社
◯事業内容
アパホテルネットワークとして全国に900ホテル以上(建築・設計中、海外、FC、アパ直参画ホテルを含む)を展開している。
また、2,200万人を突破したアパホテル会員を背景に、全国のネットワークを強固するとともに、くつろぎと洗練さをあわせ持つ「新都市型ホテル」や地方ホテル再生、フランチャイズ等で積極的に事業を拡大しています。

