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出張の移動時間は労働時間に含まれる? 休日を含む場合や残業代についても解説

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出張の移動時間は労働時間に含まれる?方法や準備を解説

出張に際して多くの方が抱く疑問のひとつが、「移動時間は労働時間に含まれるのか」という点です。正しい認識を持つことは、出張者本人だけでなく労務担当者にとっても欠かせません。本記事では、出張の移動時間が労働時間とみなされるケースや、トラブルを防ぐための注意点等を分かりやすく解説します。

労働時間とは? 厚生労働省の定義を確認しよう

労働時間の取り扱いを正しく理解することは、出張時の移動時間や残業代の判断にも直結します。まずは、厚生労働省が示す労働時間の定義などを確認しておきましょう。

労働時間とは

労働時間とは、労働者が使用者の明示または黙示の指示に基づいて業務に従事している時間を指します。具体的には、業務遂行のために使用者の指示により拘束されている時間全般が含まれ、オフィスでの勤務はもちろん、出張中に行う業務も労働時間に該当します。

企業はこの定義に基づき、労働時間を客観的かつ適正に把握・管理する責務があり、厚生労働省も同様の考え方を公式に示しています。

◆労働時間とは

“労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。
使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。“

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い

法定労働時間と時間外・休日労働の違い

法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限であり、日本では原則「1日8時間・週40時間」が基本です。この時間を超える勤務は「時間外労働」となり、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金を支払う必要があります。

さらに、法定休日に勤務した場合には35%以上の割増賃金が義務付けられており、これらの勤務には会社と労働者の間で事前に「36協定」を締結する必要があります。

出張の移動時間は労働時間に含まれる?

労働時間の定義に照らすと、出張中の移動時間は一般的に使用者の指揮命令下にはなく、労働時間に該当しないとされています。移動中に睡眠や読書など自由に過ごせる状況であれば、原則として出張の移動時間は労働時間に含まれないとされています。

厚生労働省も「直行直帰・出張に伴う移動時間の取扱い」について、業務指示がない限り労働時間に該当しないとの通達を示しています。

◆直行直帰・出張に伴う移動時間の取扱い

“直行直帰・出張に伴う移動時間について、移動中に業務の指示を受けず、業務に従事することもなく、移動手段の指示も受けず、自由な利用が保障されているような場合には、労働時間に該当しません“

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い

もっとも、「移動中に業務指示がなく、業務に従事せず、移動手段の指定もなく、自由に過ごせる状態」であるかどうかは、実態により判断が分かれることが多く、簡単には判定できません。実際に、移動時間の労働時間該当性を巡って裁判に発展した事例もあり、代表的な判例として横河電機事件などが挙げられます。

◆横河電機事件(1994年9月27日)

韓国に出張した労働者の時間外勤務手当の計算に当たり、使用者が移動時間は労働協約に規定された実勤務時間に含まれないとして計算した。
しかし労働者が移動時間は労働協約に規定された実勤務時間に含まれるとして計算した時間外勤務手当を請求した。
東京地裁は「移動時間は労働拘束性の程度が低く、これが実勤務時間に当たると解するのは困難である」としてこの請求を棄却した。

出典:労経速報1542号3頁/労働判例660号35頁

出張の移動時間が労働時間になる可能性があるケース

出張の移動時間は原則として労働時間に含まれませんが、下記の条件に当てはまる場合には労働時間とみなされる可能性があります。

  • 移動中に業務の指示を受けている場合
  • 移動中に業務を遂行している場合
  • 移動中の自由が保障されない移動手段を指示された場合

これらのポイントを踏まえ、具体的なケースを見ていきましょう。

ケース1:勤務先から直接出張先へ移動した

所定就業時間内に出張先へ移動する場合は、通常の勤務と同様に業務の一環として扱われ、「労働時間」と見なされる可能性が高いとされています。一方で、所定就業時間外に行う移動については、会社の労働協約や就業規則によって取り扱いが異なります。

ケース2:会社へ出勤後に出張へ向かった

ケース1と同様、所定就業時間内に会社へ出勤したうえで出張先へ移動する場合、その移動は通常の業務の一部と見なされ、労働時間に含まれる可能性が高いです。一方で、所定就業時間外に行う移動については会社の労働協約や就業規則の内容に左右されます。

ケース3:移動手段に自動車を指定された

自動車運転を伴う出張では、運転中は移動中の自由が保障されないため、移動時間は一般的に労働時間と見なされます。一方で、自身の判断で自動車を利用した場合は業務指示による拘束とは言えず、労働時間として認められないのが一般的です。

ケース4: 移動中にオンラインミーティングを行った

移動中であっても業務を行った場合は、労働時間として扱われるのが一般的です。オンライン会議はもちろん、資料作成やメール対応も含まれます。ただし、あくまで使用者の指示に基づいて行われた業務であることが、労働時間として認められる点には注意が必要です。

ケース5: 遠方に出張するため仕事日の前日に当たる休日に自宅から直接出張先に移動して前泊した

休日を利用して自宅から出張先に移動する場合、その時間は原則として労働時間に含まれません。本人の希望による移動と見なされるためです。ただし、先方との約束に間に合わせる必要があり「会社から指示された場合」は、出張日程として扱われます。

出張の移動・労働時間についてのトラブルを防ぐポイント

出張時の移動や労働時間に関するトラブルは、事前の対応で防ぐことが可能です。ここでは、労務担当者と出張担当者それぞれが押さえておきたいポイントを整理して解説します。

労務担当者が抑えておきたいポイント

出張トラブルを防ぐために、労務担当者が抑えておきたいポイントは以下の通りです。

  • 労働基準法や厚生労働省の通達、判例に基づく明確な基準を理解しておく
  • 労働基準法に沿った会社規定を作成、周知しておく
  • 出張の際に発生する残業代や休日出勤の取り扱いについても把握しておく
  • 出張計画書のフォーマットを整え出張担当者に必要事項を正しく記入させる

上記のポイントは、出張担当者だけでなく、管理職や関係部署全体に周知しておくことが重要です。移動時間が労働時間に含まれない場合でも、長時間の移動は労働者にとって負担となるため、企業側の理解と配慮が求められます。遠方への出張時には、出張手当や宿泊補助などの支給体制を整え、労働環境の適正な整備に努めましょう。

出張担当者が抑えておきたいポイント

出張時のトラブルを避けるために、出張担当者が抑えておきたいポイントは以下の通りです。

  • 出張移動の労働時間について会社規定を正しく理解しておく
  • 出張先への移動手段やスケジュールを適切に設定しておく
  • 出張時の移動について「業務指示か否か」を明確にしておく
  • 事前に上司や労務担当者に確認し疑問点を解消しておく
  • 出張時の移動手段や時間について客観性のある記録を残しておく

出張時には、移動手段や時刻が確認できる予約表・チケット・ICカード履歴・自動車のメーター記録など、客観的な証憑を残すことが重要です。必要に応じて備考や説明を添え、出張記録の正確性と透明性を確保しましょう。

出張の移動時間・労働時間に関するよくある質問と回答

出張に伴う移動時間や労働時間の扱いは、企業や労働者の間で誤解やトラブルになりやすいポイントです。ここでは、よくある質問とその答えを紹介します。

Q.出張で物品の移動を業務指示されました。この移動時間は労働時間にあたりますか?

A. 物品の移動が業務として指示されており、移動中に荷物の保管・管理などの業務を行っている場合、その時間は使用者の指揮命令下にあると判断され、労働時間に該当します。ただし、移動中に業務の指示がなく、読書や休憩など自由に過ごすことが可能な場合は、労働時間には含まれないのが一般的です。

Q.休日を含む出張の労働時間はどう計算されますか?

A. 出張中の休日に業務命令がある場合は、労働時間として扱われ、休日労働の対象となります。業務がない場合でも、休日に出発や移動を行う際は、その時間が労働時間に該当するかどうかを、業務命令の有無や拘束性の程度を踏まえ、会社の就業規則や労使協定に基づいて判断します。

Q.出張中の残業代は移動時間も含めて支給されますか?

A. 移動時間が業務命令に基づき、自由に過ごすことができない場合は、使用者の指揮命令下にあると判断され、労働時間に該当し、残業代の支給対象となります。

ただし、事業場外みなし労働時間制を採用している場合は、出張中の移動時間も所定の労働時間に含まれるとみなされることがあり、その場合は実際の拘束時間にかかわらず、残業代が支給されないことがあります。深夜労働や休日労働に該当する場合は、割増賃金の対象となります。

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出張中の移動は原則労働時間に含まれない!ただし注意が必要

出張の移動時間や休日・残業代の扱いは、業務指示を受けるか、自由に過ごせるかで労働時間として認められるかが判断されます。また、会社の就業規則やみなし労働制など勤務形態によっても異なります。本記事で紹介したポイントを押さえ、労務担当者と出張担当者が正しい理解を共有することで、トラブルを未然に防ぎましょう。

この記事の監修

アパホテル株式会社


◯事業内容
アパホテルネットワークとして全国に900ホテル以上(建築・設計中、海外、FC、アパ直参画ホテルを含む)を展開している。
また、2,200万人を突破したアパホテル会員を背景に、全国のネットワークを強固するとともに、くつろぎと洗練さをあわせ持つ「新都市型ホテル」や地方ホテル再生、フランチャイズ等で積極的に事業を拡大しています。

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